更新日<7月27日>
|
|||
水環境の保全 |
|
2 水利用の各段階における負荷の低減 (1)発生形態に応じた負荷の低減 工場・事業場については適切な排水規制を行う。また、排水規制の対象となっていない業種についてその実態調査を実施し、規制の必要性の検討を進めるとともに、未規制項目の調査・検討を行う。さらに、従来の排水規制だけではなく、有害物質を使用しない代替工程の検討や小規模事業場対策として規格化された処理施設の開発等、新たな対策の枠組みづくりを進めていく。また、水の循環利用等を組み込んだ生産工程の導入や建築物等における水の循環利用等を促進する。 生活排水による水質の汚濁の防止を図るため、下水道整備を促進するほか、地域の実状に応じて、都道府県毎に策定された汚水処理施設の整備等に関する「都道府県構想」に基づき、合併処理浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラント等各種生活排水処理施設の整備をより一層推進する。 水質汚濁防止法に基づき、生活排水対策のための事業に対する助成を行う。 また、「水環境フォーラム」の開催等全国的な普及啓発活動、簡易な水質診断手法の推進に関する調査等多面的できめ細かい生活排水対策の施策の展開を図る。 さらに、非特定汚染源による水質汚濁の実態を把握し、その汚濁負荷の削減対策手法に関する調査研究を実施する。 (2)負荷低減技術の開発・普及 下水道や合併浄化槽、農業集落排水施設の高度処理技術の一層の開発・普及を図るとともに、植生の水質浄化機能を活用した安価な水質浄化技術や、小規模処理事業場に適用が可能な、安価で汎用性のある排水処理施設の開発を推進する。 合併処理浄化槽については、膜分離技術を活用した小型合併処理浄化槽の普及に向けて、維持管理面からの技術的な検討等を行う。 (3)水環境の安全性の確保 有害物質に係る排水規制、地下浸透規制等を適切に実施するとともに、適正な廃棄物処理の推進を図る。 農薬については、水田で使用される農薬についての水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を引き続き進めるとともに、水田以外で使用される農薬についても当該基準の設定方法について検討を進める。また、農薬の生態影響については、今後検討を進め、施策の具体化に向けた検討を行っていくこととしている。 地下水に関しては、平成8年の水質汚濁防止法の改正により導入された汚染された地下水の浄化制度等に基づき、地下水浄化の着実な実施を図る。また、有害物質による地下水汚染機構解明に関する調査、汚染された地下水の浄化対策技術に関する調査等を実施する。さらに、硝酸性窒素による地下水汚染については、モデル地域において負荷低減総合対策計画の策定及び効果的な浄化システムの開発に係る調査を行う。 有害物質に汚染された海域等の底質については、除去等の対策を適切に実施する。 平成12年版・環境白書(各論)より |
5 水環境の監視等の体制の整備 (1)公共用水域の監視測定体制の整備 水質汚濁防止法に基づき都道府県知事が行う公共用水域の水質常時監視のための測定計画の作成及びこれに基づき地方公共団体が行う水質測定に助成を行う。また、全国の一級河川の主要な水域について水質監視を行う。そのほか、工場・事業場の排水基準の遵守状況を監視するために必要な経費について助成を行う等公共用水域の水質の監視測定のための各種施策を推進する。 (2)住民の協力を得た調査の実施 昨年度見直した水生生物による簡易水質調査を推進し、実施に当たっては都道府県の環境部局及び地方建設局河川関係事務所の指導のもとに一般市民の参加を得て行う。また、水生生物等により水環境を総合的に評価する手法についての検討を行う。 (3)地下水の監視測定体制の整備 地下水に関しては、水質汚濁防止法に基づき都道府県知事が作成する地下水の水質測定計画に基づき地方公共団体が実施する水質測定に助成を行うとともに、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき都道府県知事が実施する常時監視のための調査測定に関しても助成を行う。 (4)海洋環境保全のための監視・調査 地球規模の環境問題への対応としては、海洋環境保全のための総合的な調査や、海洋バックグランド汚染観測を実施するとともに、海洋に排出された有害液体物質を迅速に特定するための体系的分析手法に関する研究を行う。また、酸性雨による陸水生態系への影響等の把握に関する調査を実施する。 我が国周辺海域の海洋環境の現状を把握するとともに、国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、領海、排他的経済水域における生態系の保全を含めた海洋環境の状況の評価・監視のための総合的・系統的な海洋環境モニタリングを行う。 また、我が国周辺海域、海洋汚染防止法に定める排出海域(A海域)や閉鎖性の高い海域等において海水及び海底堆積物中の油分、重金属等のほか、環境ホルモン物質としても注目されているPCBの海洋汚染調査を実施する。 日本周辺及び西太平洋海域において、海水温、海流等の海洋観測を行うほか、海水中の重金属、油分等の海洋汚染物質の定期観測を引き続き実施する。 水産庁では、内分泌かく乱物質による海産生物への影響評価を可能とする手法の開発及び魚介類への影響実態把握等を実施する。また、魚介類中のダイオキシン類の効果的な削減方策の検討及び魚介類中におけるダイオキシン類の蓄積状況の全国的な実態把握等を行う。 また、複数が集中して立地する発電所の大量取放水による広域の漁業資源への影響についての検討等を行う。 さらに、漁場の健康診断としての長期的な環境監視調査、油濁・赤潮等の発生監視調査を一体的に実施し、総合的な漁場環境監視体制を確立するとともに、漁業者自身が行う簡単な採水調査の実施、観測機器の整備等、漁業者による監視調査への参加を促進する事業について助成する。 |